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株式会社オーレック
緑地管理機/農業機械の製造販売(福岡県八女郡広川町)

「草と共に生きる」
グリーン・イノベーション・カンパニー

自走式草刈機でトップシェアを誇る株式会社オーレックは、農業機械メーカーとして革新的な技術開発で持続可能な農業を支援する一方で、食・健康・環境を軸に農業機械メーカーの枠組みを超えた新たな価値を創造する「グリーン・イノベーション・カンパニー」として、農業に関わる幅広い分野で持続可能な社会への取り組みを進めている。

今村健二(いまむら・たけじ)/福岡県久留米市出身。1952年生まれの70歳。明治大学工学部卒。父が創業した大橋農機㈱(現オーレック)に1976年入社。1988年、社長就任と同時に現社名に変更。趣味は自然散策。座右の銘は「百閒は一感に如かず」。

除草剤の使用を減らすことで
持続可能な農業を支援

 果樹園などで使われる乗用草刈機を業界で初めて開発し、果樹農家を主体に販売を伸ばし、国内でトップシェアを誇るオーレック。同社の乗用草刈機や農家の要望から生まれたあらゆる草刈機は、「つらい除草作業を楽しいものに変え、除草剤を使わない果樹栽培を可能にしてくれた」と感謝された。そんな言葉を聞いて、農家の役に立つというだけでなく、有機農業の実現、その先にある消費者への安全・安心な食べ物の提供にも役立っているという自覚が芽生えてきたという。そこで開発に着手したのが水田除草機だった。

 米の有機栽培はわずか0.1%しかない。それは水田の条間(イネの植えられた列の間)だけでなく、株間の草まで取れる機械がなく、除草剤に頼らざるを得ない状況があるからだ。

 今村社長は、「2003年に開発に着手しました。非常に難しいテーマで正直なところ、何度もやめようかと思いましたが弊社でしか開発できないし、我々がやるしかないと思いました。製品化まで約14年の月日を費やしましたが、安全・安心な米を消費者に提供できるベースマシンが開発できました」と話す。

 農林水産省は2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を発表。①耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%(100万ヘクタール)に拡大、②化学農薬の使用量を50%低減、③輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を30%低減、という目標を掲げた。

 米の有機栽培において除草剤を使わない、または減らすことで、農薬の使用量を大きく減らすことができる。同社の開発した水田除草機「WEEDMAN(ウィードマン)」が、持続可能で安全・安心な日本の米づくりを実現する製品であることは間違いないだろう。

日本の米づくりを、変える。
水田除草機 WEED MAN(ウィードマン)

株間も条間もくまなく除草する業界初機構を搭載。圧倒的な除草能力で作業負担を大幅に軽減する。開発は困難を極めたが、オーレックの「安全・安心な米づくりを支えたい」という思いと技術力が完成させた、新しい時代の農業の活性化を担っていく製品だ。

「OREC green lab 福岡」のカフェで提供する
草ストロー

循環型社会に貢献するため、カフェで使い終わった植物性ストローを福岡市動物園のペンギン舎で再利用する取り組みで、草と共に生きるオーレックの脱プラスチックへの思いが再利用の輪につながった。グリーン・イノベーション・カンパニーとしての象徴的な事例となっている。

農業に関わる分野で
持続可能な社会への取り組みを進める

 同社はこれからも成長していくために、食・健康・環境を軸に農業機械メーカーの枠組みを超えた新たな価値を創造する「グリーン・イノベーション・カンパニー」というビジョンを掲げた。

「果樹農家に加え、米農家においても有機栽培に貢献できる製品の開発ができたことで、次の段階として、持続可能な農業、さらには持続可能な社会へ向けて、農業機械からだけでなく、農業に関わる周辺の部分まで幅広い分野でSDGsに貢献していきたいと思っています」

 その象徴的な取り組みが、福岡市中央区赤坂にあるブランド発信拠点「ORECgreenlab福岡」のカフェで提供する「草ストロー」だ。

 レピロニアという草の茎の部分を使ったストローで、使用後に回収し、カフェの中で洗浄、消毒、乾燥して、福岡市動物園に寄贈。ペンギンの巣材として再活用されている。また、動物園では将来的に巣材として使用された後に堆肥化して、土づくりに活用することで、循環する仕組みを考えているという。

「プラスチックゴミを削減したいという思いから、素材を探していくなかで、草という、私たちの事業と親和性のある素材にたどり着きました」

 2022年4月に施行された「プラスチック資源循環促進法」のタイミングで、草ストローを導入したことで、たくさんのメディアにも取り上げられ、グリーン・イノベーション・カンパニーとしてオーレックが注目されるきっかけにもなった。

「これからは消費者の目線から、農家には何が必要なのか、そして、その必要なものを弊社がどのように提供できるのかを考え、農業に関わる分野であらゆる事業を展開していきたい。グリーンイノベーションの領域は大きく、我々の専門ではない部分では協業や連携をしながらオープンイノベーションを進め、明るい未来創りに貢献していきたい」

株式会社オーレック
経営本部ブランディング広報グループ
TEL 0943-32-5072
https://www.orec-jp.com/