流域に着目して未来を考える
~地域社会の危機への総合的なアプローチ~
主催:東京大学社会科学研究所「社会連携研究部門」「危機対応学『地域貢献見える化』事業」
全国各地をオンラインでつないだシンポジウム「流域 に着目して未来を考える~地域社会の危機への総合 的なアプローチ~」が、2021年8月6日(金)に東京大 学社会科学研究所主催で開催され、筑後川流域振興 チ ー ム メ ン バ ー が 登 壇 し ま し た
( オ ン ラ イ ン 参 加 計 226名)。
現在、世界全体で、気候変動による水害の頻発化、台風、 熱波、地震にコロナ禍など、複合災害が多発、わが国では、生 産人口減、少子高齢化、人口減少などが進み、地域はさまざまな持続性の危機に直面しています。九州地域においても、コ ロナ禍において記録的な大雨による水害・土砂災害が頻発 しています。この難局を乗り越えるため、本シンポジウムでは、 河川流域という地域単位に着目した取り組みの可能性を探 ることを目的として、九州筑後川流域で活動する方々と共に、 地域の取り組みに根差した議論を行いました。 モデレーターの中村尚史氏(東京大学社会科学研究所教 授)の司会進行のもと、加藤孝明氏(東京大学生産技術研究 所教授/同社会科学研究所特任教授)と中村寛樹氏(東京 大学社会科学研究所准教授)による趣旨説明から始まり、一 般財団法人筑後川コミュニティ財団の宮原信孝氏、筑後川 プロジェクトの駄田井正氏・西本英雄氏、加藤孝明氏による 講演、筑後川流域を舞台にした映画の一部先行上映を行 い、最後に登壇者らによるパネルディスカッションを実施しま した。
議論のキーワードとして、「自然・農山漁村・都市=つなぐも のが川(流域)」、「社会制度にとらわれない流域治水と地域 創生」、「現場重視」、「外部の知恵と支援」、「質の良い生活は 金より物より心であり経済力より文化力」、「コミュニティバン ク」、「上流の責任と下流の責任」、「地域発信で組織上位を 動かす」、「浸水と親水」、「面白く楽しくやる・できるところから やる」、「地域と一体となった地方大学」、「地域に歴史あり」、「防災『も』まちづくり」、「温故創新」、「機能的な価値と情緒的 な価値」、「地域が動けば社会が変わる」など多岐にわたる論 点・意見が提示され、白熱した議論が展開されました。
フロア からもたくさんの質問が寄せられ、事後アンケートにおいても、たくさんのご意見・感想が寄せられ、アンケート回答者の9 割以上に、今回のシンポジウムは「大変参考になった」もしく は「参考になった」と評価していただきました。 また、本シンポジウムでは、今後、筑後川プロジェクトの事 業を実際に進めていくうえでの需要や意見なども別途アンケ ートで尋ね、重要な視座も得られました。具体的には、「筑後 川でクルージングしながら食事をしたい」、「筑後川の上流か ら下流にわたっての観光ツアーを体験したい」、「道の駅等の 物販施設での割引があれば『地域通貨』を使いたい」、「話し ていらっしゃる方が楽しそうなので、案内してくださる方といっしょに体験できるのはただ観てまわるより、その地域の暮らし がよくわかって楽しいだろうなと思いました」などの声が寄せ られました。 今後は、それらの意見等を基に、実践活動のみならず、久 留米大学や東京大学とのアカデミックな連携にも活かしていく予定です。今回のご参加いただいた全ての皆さまに、あらた めて深くお礼を申し上げます。
文責・中村寛樹(東京大学社会科学研究所)
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